下肢静脈瘤は、妊娠中に発生することがあります。妊娠中には、女性ホルモンの影響により静脈弁が軟らかくなることに加えて、胎児により中心の静脈が圧迫されるために、弁が壊れやすくなります。逆流防止弁が壊れると、血液の逆流が起こるため、逆流した血液は、足の下の部位に溜まります。その結果、静脈は血液を心臓へ運べなくなり、血液の流れが滞るので、血管は徐々に拡張してコブのように見える静脈瘤になることがあります
妊娠静脈瘤
妊娠
妊娠と下肢静脈瘤には密接な関係があります。妊娠中に下肢静脈瘤が発生する原因は、主に以下の3つです。
- 子宮の圧迫
妊娠が進むにつれて子宮が大きくなり、下腹部や骨盤内の静脈を圧迫します。これにより、下半身から心臓に戻る血液の流れが滞り、静脈瘤ができやすくなります。
- 女性ホルモンの変化
妊娠中は、エストロゲンやプロゲステロンなどの女性ホルモンの分泌量が増加します。これらのホルモンは、血管を拡張させる働きがあるため、静脈瘤の発生を促進します。
- 体の血液量の増加
妊娠中は、赤ちゃんや胎盤の成長に伴い、体の血液量が増加します。これにより、血管にかかる負担が大きくなり、静脈瘤ができやすくなります。
妊娠中の下肢静脈瘤は、妊娠3ヶ月までに約70%が発生するといわれています。症状としては、足のむくみや疲れ、かゆみ、こむら返りなどが挙げられます。また、静脈瘤が大きくなると、皮膚の色素沈着や潰瘍などの症状が出ることもあります。
妊娠中の下肢静脈瘤は、ほとんどの場合、出産後に自然に消失します。ただし、妊娠回数が多いほど、残ってしまう可能性が高くなります。
妊娠中に下肢静脈瘤を予防するためには、以下のことに気をつけましょう。
- 長時間同じ姿勢で立ったり座ったりしない
- 足を高くして休む
- 弾性ストッキングを着用する
- 適度な運動をする